「雪の弘前城と雪見酒」
冬、この一番寒い時が「吟醸造り」の最盛期となります。
気温の低い厳冬に醸造することによって酒質のすぐれた清酒ができるといわれ、現在では全国で「寒造り」が行われています。弊店でも蔵元の後継者を中心に、丹精込めて大吟醸酒などが懸命に醸造されています。蔵の中は、緊張の糸がピンと張りつめています。
「お山と桜と花見酒」
津軽平野のどこからでも眺めることができる独立峰、標高1625mの岩木山。津軽人の誰もが、呼び捨てにせず「お岩木さま」、「お岩木やま」と畏敬と親しみをこめて呼んでいます。岩木川は、白神山地から、ぐるっとお山を反時計回りに巡って北上し、日本海へと注ぎます。河口の十三湖、市浦に至っても、海岸線から、やわらかな稜線が望まれ、見る方向によって、その地域自慢の姿があり、「ここから眺めるお山が一番」とお互いに譲れない気持ちにさせられるお山。「津軽富士」とも呼ばれていますが、津軽人にすれば、富士山の方を「駿河岩木」と呼びたいところですね。
「弘前ねぷたと祭酒」
夏、津軽伝統祭「弘前ねぷたまつり」がありますが、約300年を経て現在の形になりました。扇形をした「扇ねぷた」が中心ですが、人の形をした「人形ねぷた」などもあります。動かすのに大人が数十人必要な大型ねぷたもあれば、子供たちが何人かで動かすことができる小型のねぷたもあり、老若男女がそれぞれの力を精一杯出すことができる祭りです。笛、太鼓、ジャガラキ(シンバルを小さくしたような、すり合わせて音を出すもの)に合わせた「ヤーヤドー」という掛け声とともに、大小50〜60台のねぷたが市内を練り歩きます。賑やかな「青森ねぶた」と違い、「静かさを感じさせる中で、どうやって力強さを出すか」という微妙な世界を競い合うところが、「弘前ねぷた」らしいところかもしれません。
「豊かな実りと祝酒」
秋、野山では林檎が赤く色づく頃、黄金色に輝いた酒米の収穫時期を迎えます。
酒米の出来具合は呑み手にはもちろんですが、造り手にとっても、とても気になるところです。地元の農家さんだけではなく、当酒蔵をご好意にしてくださってる方々にも手伝ってもらいながら、丁寧に収穫します。今年も、美味しいお酒が出来上がる事を願いながら。